- 作者: 飴村行
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/02/25
- メディア: 文庫
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「本日
鉄血一四〇八 、ベカやんこと丸森清軍曹はこの場において、ワシの勃起した陰茎を右手でしごき、可及的速やかに射精させよっ」
大佐は叫ぶと腰のバンドを外して軍袴を下ろし、褌を剥ぎ取った。赤黒いそれはいつの間にか限界まで膨張しており、あちこちに太い血管が浮き出ていた。
丸森は声が出なかった。頭の中が真っ白になり、思考が停止した。
「粘膜」シリーズの舞台とこれまでのキャラクターの登場する短篇集.ベカやんの命と貞操の危機「鉄血」,戦地で重症を負い,機動斥候兵になって帰還した兄「肉弾」,厳しくも人間味のある父と厳格な婆やに育てられた昭の家の秘密「石榴」,拷問のプロフェッショナルが担当したある抗日ゲリラの正体「極光」,ナムールを脱走したベカやんの帰還「凱旋」の五篇を収録.やー,みんな知ってると思うけど品がねえなぁ.引用部(とその後)が顕著だけども,血あり汁あり虫あり,露悪的.好きなひとにはたまるまいとは思うのだけど,物語としての面白さとはどうなんだろう.幻想が足りないというか.『粘膜蜥蜴』→『粘膜兄弟』と続けて読んだときの違和感をそのまま引きずってしまっている自分なので,やっぱなんか物足りないのだよなあ.あと気になるほどでもないけど,全体的にやや説明的だったかな?(番外編だからということもあるか) 「肉弾」,「石榴」の二篇が悪趣味全開で良かったです.