逢空万太 『深山さんちのベルテイン』 (GA文庫)

深山さんちのベルテイン (GA文庫)

深山さんちのベルテイン (GA文庫)

ベルさんの内部には家事等をすることによって蓄積するゲージが存在する。そのゲージが規定値以上に達すると、変身(キャストアウェイ)することができるのだ。そうして大人になった姿が、今こうして目の前にいるベルさんだった。
ちなみにキャストアウェイとは漂流とか難破とかいう意味だ。トム・ハンクスもやっていた。間違っても変身じゃないし、脱皮でもない。意味がわからなかった。

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深山さんちには,女性になることを子どもの頃から目指しているコタローと,電動侍女型機械人形=メイドロボのベルテインがふたりで暮らしている.『這い寄れ! ニャル子さん』が絶好調の逢空万太が並行して描く,のんびりした日常のお話.「とにかく優しい世界にしよう」(あとがきより)と心がけたとのことで,大きな事件は起こらない.三頭身のメイドであるベルさん(たまに変身する)に女装子コタローのふたりをメインに,イロモノかと思いきや,これが意外としっかりしている.小さなメイドさんもの(森薫『シャーリー』的な)の段階をきちんと踏んでいるのよね.各種ネタの入れ方の上手さやリーダビリティの高さは「ニャル子さん」で証明された通り.のんびり読める良い作品だと思います.