川岸殴魚 『人生 第3章』 （ガガガ文庫）

人生〈第3章〉 (ガガガ文庫)

「いやいや、その当時二十五の男性だよ。そりゃモテたいよ。このアジアン雑貨の店も森ガールとか言ってしまう判断力がゆるい女子にモテないかなと思って始めたんだから」
モテたくてアジアン雑貨なのか……。残念ながらお客さんはさっきからひとりも入ってこない。おそらくモテてもいないだろう。
「ほかにもモテたくて、ピラティスを始めようとしたり、モテたくて山に籠って座禅を組んだりしたけどちっともモテなかったよ。結局、ピラティスってなんなのかさえわからずじまいだったよ」
「やめてくれよ！　正義のヒーローがピラティスしないでくれよ！　私もピラティスがなんなのかは知んないけど！」

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九月も上旬．少し気が抜け気味の第二新聞部のお悩み相談BOXが放火され，中に入っていた相談が燃えてしまう．勇樹たち第二新聞部員たちは，お悩みに答えつつ犯人探しを行うことにする．
人生相談コメディ第三巻．よく練られた舞台コントを見ているかのような，毎度毎度の素晴らしい安定感．電車内でガチで笑いを噛み殺す羽目になるライトノベルはそうはない．人生相談（今回は人生相談ではないものも多いが）をギャグに使うだけではなく，同時進行でちゃんと話を進めているのがポイントよな．みんな大好き田中ロミオの（わりあい本気度が高いと思われる）お悩み相談も巻中に載っているぞ．みんなも読むといい．