- 作者: 久住四季,カツキ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 142回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
「なら」と、僕は言った。「あの事件は人間がやったものだって証明すればいいんだろ」
Amazon CAPTCHA
「……、はい?」
「あれが悪魔じゃなくて、人間のやったことなら、お前はそもそも悪魔じゃないってことになるんだからな」
「────」
「だから、麒麟館のあれは人間の犯罪だったってことを──お前が悪魔じゃないってことを、今から俺が論証してやる」
世界に知られる天才数学者・霧生賽馬は魔術師であるという.霧生博士による招待を受け,代理として博士の住む麒麟館を訪れた譲とうぐいす.ふたりの目的は,博士が悪魔と契約したのかどうかを確かめることである.
閉ざされた麒麟館で起こった密室殺人事件を「論証」してゆく.究極に発展した数学は魔術と区別がつかないことについて,あるいは神と悪魔の区別についての論証,というのかな.これまでの作品に比べると,より新本格っぽさを増している,のかな? 「論証」は明確な文体で書かれており,非常に分かりやすく読みやすい.神と悪魔を区別する理屈はなかなか面白い.キャラクターが弱く,どこか小手先で書いている感覚もあり(もっとやれるだろ的な意味で),あえてこれ,という魅力はあまりないのだけど…….