- 作者: 安藤白悧,kyo
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/31
- メディア: 文庫
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そう、疑問とはそれである。
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果たして「魔法少女」という存在は本当にいるのだろうか?
別に頭がおかしくなったわけではない。
要するに僕が言いたいことは、一人一人、その『能力』のルーツが違っている異能の少女たちがいるだけで、彼女たちを括る『魔法少女』という言葉に実体はないのではないか、ということだ。
(中略)
『魔法少女』を絶滅させることは彼女たちを救うことになる。
究極の差別撤廃方法は区分そのものを破壊してしまうことである。
日本には魔法少女がいる.30年ほど前に現れた彼女たちは,もともとは日常の中ですこし不思議な騒動を起こす程度の存在だった.それが変わり,変身ヒーローのように異形と戦い始めたのが20年ほど前.それから魔法少女たちはじわじわと数を増やして現代に至る.
増えすぎた『魔法少女』の全滅を目論む『魔女』の末裔の作戦に,魔法少女に助けられやすい体質の少年が付き合うことになる.第1回講談社ラノベチャレンジカップ〈大賞〉受賞作.魔法少女ってそもそも何よ,という話を,メタな視点を入れながら進めてゆく.「地獄」やら「全滅」やら言葉は物騒だけど,どちらかというとコメディベース.現代的な魔法少女と伝統的な魔女の違いとは「日常」である,とか,魔法少女を「全滅」させる方法だとか,切り口が非常に面白い.場面によっては説明調が続いたりかなり読みにくかったりするのはちと印象が良くないのだけど,ハッとするものも多かった.あと,内容とは直接関係ないのだけど,各章タイトルがSF由来(ベスターとかブラッドベリとかティプトリーとか)だったり,ことあるごとに話の例に出すのがSF作品(クラークとかラファティとか筒井とかレムとか)だったりするので,気になるひとは手に取ってみるといいかも.