歩祐作 『ティーンズライフ』 (講談社BOX)

ティーンズライフ (講談社BOX)

ティーンズライフ (講談社BOX)

「頼ってよ、少しくらい」
最後は無理に冗談めかして、付け加える。
「あんまり女の子がしっかりしてると、男は寂しいもんだよ?」
笑ってくれると思ったのに、詩織は泣きそうな目をしただけだった。ぐしぐしともう一度目を擦る。ひび割れた声で、分かった、と言う。
それから、ふと遠い目をして、虚空を眺めた。

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1993年生まれで現在は北大2年の作者による第12回講談社BOX新人賞Powers受賞作.高校二年生の男女五人の一年間を切り取った,「BOX史上最高に爽やかな青春小説」.部活,恋愛,進路といった等身大の悩みや挫折,そしてまた春がやってくる.女三人,男二人という人数構成で,ほぼグループ内での話に終始するせいか,どこかトレンディードラマっぽい雰囲気がある.ストーリー的に驚くような部分は少ない.ってか,読んでみたら本当に講談社BOXとは思えないまっとうな青春小説だったことにいちばんびっくりした.このレーベルでデビューしたのが良かったのか悪かったのか.