- 作者: 陸凡鳥,新井テル子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/19
- メディア: 文庫
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アトラは答えず、まったく違うことを問い返してきた。
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「……その充電器 は、どなたのですか?」
抑揚なく、彼女は言った。
「私がここに来てすぐ、マスターは新しい充電器を買ってくださいましたね? ずっと変だと思ってました。同じ物があるのにと」
「……他人が使ったベッドで寝るのは嫌かと思ったんだ」
充電器に視線を落としながら、神宮司は答えた。はぐらかしている、と思った。そこに触れてほしくない気持ちと、打ち明けてしまいたい気持ちがせめぎ合い、彼を苦しめる。
アトラはそんな主を前に、辛抱強く待っていた。
神姫を警備員として運用している民間警備会社JOSから,神姫が一体行方不明になったと通報があった.早々とその行方を突き止めた通称“神姫担当”こと刑事の神宮司八郎だったが,武装したJOSの神姫たちに襲われる.
『武装神姫 LOST DAYS』(感想)の半年後を描くノベライズ第二巻.今回もハードボイルド志向のSFミステリ.一巻と同様,刑事とロボット(=神姫)のバディものという,枯れた題材を真摯に解釈し,自分のものにしているのが素晴らしい.ちなみに主人公は30代後半,10代の登場人物は全体を通してひとりしか登場しない.「首輪を返した野良犬」を自称する,八郎の先輩でもある引退した老警官と,半年前のトラウマから神姫に対して距離をつかめないでいる八郎.彼らに付き従う神姫たち.過剰に盛ったテキストもさることながら,彼らの関係の描き出し方がとにかく格好いいんだ.“