優馬足掻 『魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!?』 (このライトノベルがすごい!文庫)

魔王討伐! 俺、英雄…だったはずなのに!? (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔王討伐! 俺、英雄…だったはずなのに!? (このライトノベルがすごい! 文庫)

「一人の人間を滅ぼす目的で存在する国って、多分史上初じゃないでしょうかっ」

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傭兵国家メンディエタを支配していた魔王ザモラを討伐した英雄ラグナは,強すぎて友だちがいなかった.“君は強すぎてつまらん”…….その言葉に深く傷つけられたラグナは,弱くなりたいと願うが,その身にかけられた10008の呪いが故に一筋縄ではいかず.
第3回このライトノベルがすごい!大賞栗山千明賞受賞作.並ぶ者のいない英雄と魔王の話.もともとは自身のホームページに掲載していた小説とのことで,ショートストーリーをふくらませつつ繋げた連絡短篇集のようでもある.英雄が10008人の魔王を生み出す話や,「伝説」によって形成されている町など,短篇ごとのアイデアは面白い.ただ,お使いRPGのような面白みのない展開やアイデアの掘り下げが少し甘いこと,なにより動機が異様にしょぼいのがおおいにマイナスだなあ.ラストもそれなりのところに落ち着いてしまうのがもったいない.