円居挽 『烏丸ルヴォワール』 （講談社BOX）

烏丸ルヴォワール (講談社BOX)

「だったら嬢ちゃん、なりたい大人にはなれたかい？」
流は泣き笑いのような表情で何とかこう答える。
「馬鹿……オトナになるのはまた明日だよ」

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古い神様を呼び出す方法が書かれたという奇書『黄母衣内記』の所有者・綾織耕作が死亡した．耕作のふたりの弟は，『黄母衣内記』の所有権をめぐり，京都の私的裁判である双龍会で決着をつけることにする．
京都に住まう変人奇人が双龍会に集う．『丸太町ルヴォワール』（感想）を読んでからだいぶ間をあけてしまったので，登場人物の人間関係はほぼ忘れていたり．「丸太町〜」で説明したからだと思うが，双龍会のルールはほとんど端折っており，青春ミステリにより重きを置いている印象．ハッタリやミステリ方面に強化されるより好みである．ひと癖もふた癖もある登場人物たちは生き生きとした，かつ嫌なやつばかりで現実にいたら絶対に近寄りたくないタイプばかり．知らずに読んでたら，作者は京都が嫌いなのではないかと思ったことでしょう．