リタ・ジェイ 『青春サイバーアクション漫才ハードボイルドコメディな転校生』 (スマッシュ文庫)

「相方は、お互いを利用、ではなくて、必要、としている存在だな。理屈ではないところでね。すごく飛び出たところと、なんか欠けてて、すごく足りないところがある人間。そんな人間同士がくっついて、欠けたものを補い合い、そして尖ったところをより尖らせる……というか。そういう存在だよ。あくまでこれは、俺の相方論だが」

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高校生の南田是也はお笑い芸人を目指していたが,お笑いのセンスはかなり微妙.クラスメイトでお笑いマニアの木下に酷評される日々を送っていた.その前に現れたのは,自称サイボーグの少女,鋼屋りん.りんは是也がセクシャルバイオレットシステム解放の鍵を持っていると言う.
やたら長いタイトルの全部盛りライトノベル.というにはちとハードボイルド分が薄い気がするけども,まあそこはいいとして.状況にあわせたガジェットが解放されるセクシャルバイオレットシステムと,漫才を組みあわせたアイデアが素晴らしいなー.お笑い芸人でもある作者ならではのアイデアではなかろうか.作中で語られるお笑い論も,量は多くないのだけど鋭いことを書いていると思う.ただ,気になることもけっこう多いかなあ.クライマックスである文化祭でのネタの披露がいまいち盛り上がりに欠ける(というかああいうことになる)のはどうかと思う.素晴らしいアイデアを十二分に生かし切ったとは言えないんじゃないかなあ,という気がひしひししたのでした.