来楽零(GoRA) 『K SIDE:RED』 (講談社BOX)

K SIDE:RED (講談社BOX)

K SIDE:RED (講談社BOX)

「給料もらった分きっちり働く、プロ根性……ってことか?」
言ってから、草薙は皮肉げに笑う。
「ちゃうやろ。あんたはもう、考えるのが面倒なだけや」
塩津の眉が、ひくりとわずかに動いた。
「あんたはもうなんも考えたくのうて、考えるのをやめて十年もずるずると惰性でやってきたんとちゃうか」

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バー「HOMRA」.赤の王である周防尊を中心に,赤のクランがたむろするその場所に,尊の高校時代の担任教師だった櫛名穂波が,姪である櫛名アンナを連れて訪れる.人形のように感情を見せず,赤以外の色を見ることのできないアンナだったが,尊に対しては興味を示す.
アニメ『K』の小説版その二.時系列的には古橋秀之の『K SIDE:BLUE』(感想)よりさらに前の話になるのかな.無表情な少女と武骨な王が,周囲に助けられ,互いを救う.オーソドックスなストーリーだと思うのだけど,いかにもプロローグといった感じの,一点に収束していく物語は素直に楽しく読める.
登場人物が男だらけなのは「BLUE」同様.しかし,作者は女性なのに比べるとそっちのケはむしろ薄く見えるのが面白いですね.個人的には「BLUE」より好きかもしれないです.