森田季節 『魔女の絶対道徳』 (ファミ通文庫)

魔女の絶対道徳 (ファミ通文庫)

魔女の絶対道徳 (ファミ通文庫)

「ああ、もしかして不思議な力が使えるの? そりゃ、日常がいいですよとか言い出すよね。でも、そんな芸能人が普通の生活に憧れますだなんて台詞に同調できると思う? 私たちは違いすぎたんだよ」
彼女が踏みこんできた。
その時点で、彼女は自分がどうなるかなんてことは、すでに知り尽くしていたのだと思う。
「――――さようなら」

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小さな地方都市,久多良市.連続殺人事件を追っていた咒師(のろんじ)である水主頼斗は,餓鬼に捕らえられてしまう.そこでいっしょに捕らえられていた少女,愛宕輪月に助けられる.
境界都市をめぐる天狗と吸血鬼(とプラスアルファたち)の縄張り争いと,そのバランスを取る咒師(のろんじ)との和風伝奇ミステリ.詳しく知っているわけではないのだけど,雰囲気的に東方っぽい,のかな? インタビューで“正直、ここまで好きなことをやらせてもらって、本当にいいのかなと思っています。”と語っているのはそういう意味なのかな,と.ストーリー運びは下ネタと伝奇のうんちくを散りばめた会話が中心.終盤の唐突でひどい(毀誉は半々)展開も作者らしい.良くも悪くもまとまっており,もうちょっととんがっていてもいいかなーという気もした.