赤城大空 『下ネタという概念が存在しない退屈な世界2』 (ガガガ文庫)

けど、僕にはそんなこと不可能だ。父さんがかつて、珍しく落胆するように漏らしていた。“頭のいいバカ”に、言葉は届かないと。

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下ネタテロ組織《SOX》の及ぼした多大な影響を受け,《群れた布地》を名乗るテロ組織が大規模な活動を行いはじめていた.大義を唱えつつも,その実は下着フェチの変態集団である《群れた布地》の動きによって,善導課の取り締まりが強化されてしまうことを憂える下ネタテロリスト,華城綾女は,新たなメンバーである鬼頭鼓修理を従え下ネタテロを実行する.
性知識を統制されたディストピア社会を描くシリーズの第二巻.まさか二巻が出るとは思わなかった.大義なきテロリズム,己のために正義を作り出したテロ組織,テロ組織を渡り歩き引っ掻き回すジョーカー,そしてこの統制の意味…….描きたいことがあるは分かるのだけど,いまひとつ整理しきれていない感覚はあるかなあ.一巻(感想)の洗練からは程遠い.ただ,志はそれなりに高いところにあると思う.今後もこの世界を書いていくのかは分からないけども,期待はじゅうぶんできる.にしても,下ネタ密度の濃さには本当に感心する.「クリトリス」だの「ちんこま●こ」(原文ママ)だの.作中の言葉,“――私は下ネタになりたい。”を作者自らが体現しているのはすごいよなあ,と.