浅倉秋成 『ノワール・レヴナント』 （講談社BOX）

ノワール・レヴナント (講談社BOX)

――何度でも言います。本当にごめんなさい。私は取り返しのつかないことをしてしまいました。私のしたことは何があろうとも決して許されることではないと思います。何年かけても、一生をかけても、償い続けなければならないことです。だけれども……それを重々踏まえた上でも、やはり私はあなたを許せません――

Amazon CAPTCHA

「見えないものが見える」少年，「読めないものが読める」少女，「聞こえないものが聞こえる」少年，そして「何でも壊せてしまう」少女．「普通ではない」ところを持つ四人の高校生が，不思議な声と招待状によって一箇所に集められる．
第13回講談社BOX新人賞Powers受賞作．青春ミステリって言うのかな．地味で汎用性のない能力が，活かされ，緊張感を生んでゆく．これは面白かった．あるかないかの希薄な繋がりが，少しずつひとつの形をとってゆく過程が，ジグソーパズルを組み立てるようにパチリパチリはまっていく．あれも伏線だったのか，これにも意味があったのか！　みたいな感覚が次々やってきてとても気持ちいい．不可解さを（わざとかどうなのか）残しながら，きれいに収束してゆくのも見事．500ページ以上あるけどまったくダレることなく読みきってしまった．