紫藤ケイ 『紅炎のアシュカ』 (このライトノベルがすごい!文庫)

紅炎のアシュカ (このライトノベルがすごい!文庫)

紅炎のアシュカ (このライトノベルがすごい!文庫)

アシュカは、ギンと烈しく両の眼を見開き、女は、ついと静かに視線だけを彼女に向けていた。
突き込まれていた段平が、膂力によって強引に軌道を変えられる。月光を照り返す銀閃は、自らの頭上に半月を描くものであり、それはアシュカの描いた弧月と、ちょうど重なるものであった。
強烈な一撃が、アシュカの曲刀を撃攘する。

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かつてこの世界を荒らしまわった《根絶者》アシュバルド.アシュカはその「魔王アシュバルドの右手の小指の先の化身」を自称する少女である.彼女は駆神人のラティス,小妖精のリルと旅をしながら,他の化身を探していた.
デビュー三ヶ月連続刊行の三冊目.『ロゥド・オブ・デュラハン』(感想),『千の剣の権能者』(感想)と比べると,いかにもライトノベルらしい,オーソドックスな導入.だと思っていたら…….それにしても,アクションシーンの緩急も非常に上手いのだけど,ちょっとしたテキストで違いを出すのがすごく上手いなあというのが三作品を読んで思ったこと.頭をかこうとするたびにリルを気にするラティス,天丼ギャグのバーナード.コミカルなキャラクターを,少しのテキストですごく印象的に描いている.三冊とも良いファンタジーだと思うし面白かった.評価されるべき,とまでは言わないけど,もう少し読まれたり言及されてもいいと思う.