深見真 『GENEZ - 3』 （富士見ファンタジア文庫）

GENEZ-3 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)

謙吾は、命令されるのが好きだ。
自分で考えて、自分で決めて、自分で選択するということは、実はとても辛いことだから。
命令されてやったことには、責任を感じなくていい。
戦うことをやめたら――俺の人生は空っぽになってしまう。
そう思っていた。
勘違いだった。空っぽにはならない。

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英国の諜報機関MI6からの依頼を受け，「D荷物(デルタパッケージ)」と呼ばれる「歴史を変えた兵器の一部」を護衛することになったグリークス．ユーロスターでの旅路の途上，三人組の傭兵が襲い掛かる．
傭兵学園を描くシリーズの三巻．舞台は海神学園から山梨の山奥，そしてフランス，クロアチアまで．科学と魔術・オカルトを強引に絡めた痛快ガジェットとアクションに，鍵である「D荷物(デルタパッケージ)」のアイデアも（種となるアイデアがあると思うのだけど）面白い．そんな派手なことをやりながらも，第二次大戦におけるバトル・オブ・ブリテンの裏にある歴史が，そしてソヴィエトの超人兵士計画が連鎖して，現在の「戦争」に直結していることを描いている．エンターテイメントらしい派手な装飾はされているけれど，文面に書かれている以上に，「戦争」を真摯に捉えて描いている物語だと思うんですよね．