レベッカ・ステッド/ないとうふみこ訳 『きみに出会うとき』 (東京創元社)

きみに出会うとき

きみに出会うとき

かんちがいでなければ、これが、あなたに書くよう言われた話の発端なんだと思う。そして、このときはまだわかっていなかったけれど、これがわたしとサルの友情の終わりでもあった。

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ミランダはニューヨークで母とふたりで暮らす少女.厳しいママに辟易したり,バイトを始めたりしたりする日々を送る彼女だったが,あることから親友と仲違いしてしまう.どこかぎくしゃくした日々を過ごす彼女に,未来のことを予言するような,不思議なメモが届き始める.
メモを送ってくる“あなた”とは誰なのか,その目的は何なのか.アメリカの児童文学賞であるニューベリー賞受賞の,ジュブナイル時間SF.よじれた友達関係,恋愛感情や,社会格差,貧困,人種差別という70年代終盤のニューヨークにおける中流下流社会は,子どもの視点から丁寧に描き出していると思う.メモの秘密と目的が明らかになる終盤は,非常にスピーディで展開にもビックリしたのだけど,そこまでが長く,かつリアリティがあって閉塞感が強いので何も考えずに面白がれるかというとなかなか難しい.