瀬尾つかさ 『銀閃の戦乙女と封門の姫』 (一迅社文庫)

銀閃の戦乙女と封門の姫 (一迅社文庫)

銀閃の戦乙女と封門の姫 (一迅社文庫)

ソーニャはおおきく息を吐き、ケンタウロスが絶命するさまを眺めた。
「おまえたちは、なんなのじゃ。いったいどこから来て、どこへ行くのじゃ」
モンスターに人間の言葉は通じない。
そのはずなのに……。
ケンタウロスのノーブルは、消えゆく寸前、にやりと笑った。

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カイトは一年前まで地球と隣接した亜世界クァント=タンで,機士としてモンスターから人々を守る役目を担っていた.王に疎まれ,日本に戻って高校生として日々を送っていたカイトのもとに,クァント=タンでの仲間だったフレイ・サルタールが現れる.フレイはカイトに力を借りたいと頼み込む.
瀬尾つかさの異世界ファンタジー新作.一迅社文庫で書いてきた一連の作品と,世界観の面でゆるいつながりがあるのかな.世界の仕組みはしっかり作りこんである印象があるのだけど,必要ないことを説明しすぎず,頭のいいキャラクターたちでストーリーを回している.ひどくざっくり言えば,母と子の血の物語ということになるだろうけど,ただ単にきれいにまとめるだけでなく,よじれた感情を物語に非常にうまく織り交ぜている.いつも思うことだけど上手いなあ,と.しかしできることなら長篇で読んでみたいなあ.一連の作品を横に貫くだけでも,魅力的な世界が出来そうな気がするじゃない.