森川智喜 『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』 (講談社BOX)

スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社BOX)

スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社BOX)

ダイナは緊張とともに、探偵の背中を見つめていた。――見なさい、彼を! ついさっき鏡の存在を知ったばかりだというのに、こんな手のこんだ使い方まで……。もしかしたら、鏡にこんな緻密な質問をしたのは、史上初のことなんじゃないの?
「これが……探偵……!」

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なんでも教えてくれるふしぎな鏡を持つ女子中学生探偵・襟音ママエは,まったく推理をしない.鏡さえあれば考える必要ないし,と鏡に頼りっきりのママエだったが,ある事件に関わったことをきっかけに,名探偵三途川理に命を狙われる羽目に陥る.
「なんでも教えてくれるふしぎな鏡」を持つ二組の探偵による化かし合い(とは厳密には違うのだけど,まあ).質問さえすれば過程をすっ飛ばして真相を教えてくれるミステリ的反則アイテムを,それぞれがどう使い,どう防ぎ,それらにどのように理屈をつけるか.自称名探偵三途川理の外道っぷりが,このふざけたアイデアにかっちり咬み合って楽しいこと.人喰い猫の話だった「キャットフード」(感想)も良い意味でひどい話だったけど,こちらのアイデアと理屈のつけ方もすごく楽しかった.上に引用した台詞じゃないけど,まさに「これが……探偵……!」という気持ちで読んだともさ.サブタイトルは「キャットフード」と共通しているけど,お話的にはほぼ完全に独立してるので,興味あったら手に取ってみるといい.