冬木冬樹 『ふぉっくすている? 1本目』 (MF文庫J)

ふぉっくすている? 1本目 (MF文庫J)

ふぉっくすている? 1本目 (MF文庫J)

頭でいくら悩んでも、中途半端な凪は結論を出せずにいたけれど。
でも――『人間の清原凪』は、人間の危機に、反応してしまった。
かばうことが出来るほどの力は、人間ではありえない。それは、わかっていた。
だが、かばえる力がありながら見殺しにするのは、人間的ではないと、『清原凪』は判断したのだ。

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「普通の人間」であることを目指して平凡な日々を邁進する高校生,清原凪.ノートを忘れて夜の学校に向かった凪が天気雨の中で出会ったのは,金髪の妖狐.嫁入りを邪魔され,生涯をめちゃくちゃにされたという妖狐の橘に,凪は「普通の人間」として償うことになる.
第6回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作.ちなみに『魔法少女☆仮免許』との一人二作同時受賞で,『かんなぎ家へようこそ!』(感想)で同時期に第2回GA文庫大賞奨励賞も受賞してのデビュー.「普通の人間」を目指すとはどういうことか,「普通」であるとは,「普通」ではないとはどういうことかを,繰り返し繰り返し,しつこいくらいに問いかける.ハーレムとか学園異能とかのなんやかんやを描いてもいるけど,そちらはむしろおまけで,ひとつのテーマをただひたすら追求している印象があり好感が持てる.全体的なトーンは比較的重め,かつ,理不尽な話運びと場面転換はたぶん分かってやっているのであろう.表紙イラストや帯から想像できるのとはぜんぜん違う話で,個人的にはとても良かった.とりあえず続きを買ってこようと思いました.