深見真 『GENEZ-4 ジーンズ』 (富士見ファンタジア文庫)

GENEZ?4  ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)

GENEZ?4 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)

「嫌だよ、謙吾。こんな風にみんなとさよならするなんて」
古いゲームボーイを、宝物のように大事にしているヒスパニック系の少年兵がいた。安価で頑丈なニンテンドーの携帯ゲーム機は、内戦地帯の少年兵にも大人気だった。このゲームを作った人たちは、自分たちの商品が戦場の少年少女に生きる勇気を与えることになるとは、想像もできなかったろう。そのヒスパニック系の少年は、アフリカに売られていった。別れ際に、彼は謙吾にボロボロになったゲームボーイを渡してくれた。
「まるで俺たち、豚か牛みたいだな」

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セーシェル諸島沖にて海神学園の臨海学校が始まった.訓練につぐ訓練にへとへとになるグリークスの面々.海賊に襲われていた貨物船を救出した一同は,そのご褒美として船上でレクリエーションを行うことになる.その最中,グリークスの乗った軍用艦が爆発され,謙吾のGENEZが強奪される.
学園PMF第四巻.今回登場するのは三台目のGENEZ,スクアロドン型に,ソマリアの海賊,チェチェン紛争の生き残りの少年兵,人民解放軍崩れ.現代の戦争ものに,言い方は悪くなっちゃうけど,ファンタジーやオカルトをすごく都合よく取り入れているなあ.しかしテクニックや小手先で使っているのではなく,がっぷり四つで取り組んでいるので,非常に読み応えがある.「現代の戦争」と「ゲーム」の関係を,複数の観点から書き出そうとしているのが個人的に良かった部分なのだけど,これも問題意識が半分,趣味と好みが半分といったところなのではないかな.話が大きく動く局面に差し掛かったようで,続きを読むのが楽しみです.