安藤白悧 『瓶詰魔法少女地獄』 (講談社ラノベ文庫)

瓶詰魔法少女地獄 (講談社ラノベ文庫)

瓶詰魔法少女地獄 (講談社ラノベ文庫)

「やっぱり、やめた方がいいですよね。こんな異能(ちから)を持った女の子なんて、化け……」
「やめろ!」
ビクリ! と肩を震わせ、ミエナの自虐は止まった。「そんなこと言うな」
「……でも」
「ていうか、それ、他の魔法少女たちへの悪口にもなるって分かってるか?」
「あ? あ……! すいません! そんなつもりじゃ……」

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魔女である長南雨衣佳先輩と僕こと三田村黒犬は「魔法少女絶滅計画」を着々と進めていた.計画の一環としてはじめた魔法少女向けラジオをきっかけにお悩み相談を受けた僕たちは,蘭談町という町に向かう.蘭談町には影の町,いわば闇蘭談(あんらんだん)とでも言うべきもうひとつの異次元空間が重なっていた.
決戦,地上最強の魔法少女対史上最強の「魔女っ子」(古きものども)魔法少女より前の混沌の存在,「魔女っ子」(古きものども)が登場し,その昭和的な力を見せつける.タイトルは前作(感想)に続き夢野久作,章タイトルはすべて殊能将之(あとがきで解説あり),作中のネタもチャイナ・ミエヴィルあり,平成ガメラあり,その他いろいろ私には分からないのあり.ちょっとしたことに,これでもかと好きなことをぶち込んでいる印象で,作品中のみならず,カバーソデやあとがき(こんなところでデーモン・ナイトやアブラム・デイヴィッドスンの名前を見るとは)でも好きな作家・作品を推しまくっている.えらく自己主張が激しい作者である.好き勝手やってもあまり怒られないのがライトノベルの良いところだと思うし(気づかれにくいとも言う),個人的には好ましい姿勢だと思う.今のところ良い方向に出ているので,是非もっとやって欲しい.