- 作者: 赤月カケヤ,しらび
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/03/19
- メディア: 文庫
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「斗和くん、知ってる? 人は自分が正しいと思ったときに、もっとも過ちを犯すそうよ」
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人類が食物連鎖の頂点から転げ落ち,捕食される側に回るようになった日は唐突にやってきた.斗和たちの通う学校は見えない壁に囲われ人喰いの化け物が徘徊する地獄となった.斗和たちは生き残りをかけて抗うことになる.
デビュー作『キミとは致命的なズレがある』(感想)以来の二作目は,二ヶ月連続刊行の一冊目.突然現れる不気味な化け物.無造作に殺され喰われる生徒たち.生き残った生徒たちを襲う不安と不信.モンスターパニックものというかサバイバルものというか,抑えるべきところを抑えた非常にオーソドックスな作品ではないかな.ただし,本当に見るべきところはそこ以外にある,と思う.舞台の学校は日本のように見えるけど,どうやら現代日本とは別の文明であるらしいこと.一度滅亡してから復興した世界であるような説明や,髪の色がひとによってバラバラらしいこと,創造論が進化論より一般的であるらしいこと.さらにもうひとつ,「物語」という枠組みに対するいかにも思わせぶりな仕掛け.読んでいくに連れてじわじわとした違和感というか,気持ちの悪いズレが生じていく.これがどういう意味を持つのか,予想はいくつかできるけど,今の時点では予想でしかないわけで.とにかく,来月の二巻を楽しみにしています.