- 作者: 吉上亮
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/06/21
- メディア: 文庫
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痛みは消える――それは傷が癒えることではない。忌まわしい記憶を乗り越えることではなく、もっと他人任せの、いや、機械に任せるといったほうがいいだろう。
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「〈黒花〉と動作補正ナノマシンは、ジョウくんを着装者として最適化し続ける。そのために参照されるべきでない記憶をどんどん遮蔽していく」
傷は傷のままで残りながらも、傷そのものを知覚しえないのなら、きっと痛みを感じなくなる。意識的にも無意識的にも、今の自分に不適切な記憶は参照されなくなる。
今もなお、それは進行していた。最適化のプロセスが実行される限り、今の自分にとって苦痛をもたらす記憶のすべては、何であろうといつかきっと不可視なものになる。
三ヶ月連続刊行の二巻.いまいち乗りきれなかった一巻(感想)と比べるとぐっと面白くなっている.ってもまあ一巻あればこそではあるんだけど,主人公広江乗をはじめとした登場人物たちが軸になり,「物語」が動き出した感がある.ARや行動分析などの現代SFらしいガジェットを描きながらも,新しい皮を被った,古くからある物語ではあるのかな.都市の女神である〈co-HAL〉が創造された理由や,