大森望・日下三蔵編 『年間日本SF傑作選 極光星群』 (創元SF文庫)

この機巧に命がないというのなら、では命とは何を指すのかと逆に問いたくなるような、妙な気持ちに仁左衛門は囚われた。
人の形に宿った命とは、どこからやってきたものなのか。

機巧のイヴ

きみの夢を叶えよう。私がきみの夢をこの世界に実装しよう。きみから未来をつくるのだ。それが父さんのいちばん大切な仕事だ。いつかきっとその姿をきみに見せよう。いつかそこへ至ったとき、時間はきっと一篇の物語となる。

Wonderful World

宮内悠介「星間野球」上田早夕里「氷波」乾緑郎「機巧のイヴ」山口雅也「群れ」高野史緒「百万本の薔薇」會川昇「無情のうた 『UN-GO』第二話 坂口安吾「明治開化 安吾捕物帳 ああ無情」より」平方イコルスン「とっておきの脇差西崎憲「奴隷」円城塔「内在天文学瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」瀬名秀明「Wonderful World」に,第4回創元SF短編賞受賞作宮西建礼「銀河風帆走」を収録した年間傑作選.個人的な好みでいうと江戸時代(のような独自の世界)を舞台にした乾緑郎「機巧のイヴ」.25世紀,水位上昇によりミドリムシの変異体に支配されるようになっていた地球の話瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」.「メタファー」を駆使して震災以後の倫理と「未来」を描く瀬名秀明「Wonderful World」,の三編が特に良かったです.