英アタル 『ドラゴンチーズ・グラタン2 幻のレシピと救済の歌姫』 （このライトノベルがすごい！文庫）

ドラゴンチーズ・グラタン2 ~幻のレシピと救済の歌姫 (このライトノベルがすごい! 文庫)

「罪を償ってやり直してください。あなたがあの英雄ギルバルトなら……人のためにその知識と力を使えば、たくさんの人が救えるはずです……それこそ……」
『ボクなんかが一生かかっても、救えない数の人たちを』
それは悔しくて言葉にできなかった。

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「世界面取り計画」のため，ヴィーデル食堂で働きはじめたアイソティアの少女，アトラ．ぎこちないながらも不器用に努力するアトラと，それを見守るレミオを始めとした面々．そんな折，町に乱風邪という流行病が蔓延しだす．治療法を探すレミオとアトラの前に，怪しい少女が現れる．
新人賞受賞のファンタジー第二巻．情報量そのものがかなり多いこともあって，唐突な情報が出てきて戸惑うこともあり，まだちょっと粗さはあるかな．ただ，それらしい用語を取りこんだだけのファンタジー風ライトノベルと違って，ちゃんと独自の世界を作り，ファンタジーを作ろうとしているのは好感が持てる．ストーリー，というか目指すところははっきりしているのは良いなあ．人間とアイソティアというふたつの種族が住む世界をひとつにしたいという願いと，それを見守る人々の構図．ベタだけどやはり良い．今回登場した新キャラクター，ギルバルトとネフィスは，「世界面取り計画」に直接関わるものではない，と思うんだけど，今後どうなっていくんだろう．期待しております．