北野勇作 『かめくんのこと』 (21世紀空想科学小説)

かめくんは、かめくんである。
カメに似ているけど、本物のカメじゃない。
あ、本物のカメっていうのは、爬虫類のカメってことだよ。図鑑にのってたり動物園にいたりするあのカメ。
かめくんは、カメに似ているんだけど、あのカメとはだいぶ違っている。
よく似ているんだけど、ぜんぜん違うんだ。
うーん、これじゃわからないよね。

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二本足で歩く,すごくでっかいカメがいる.クラスメートのハマノヨウコといっしょに見に行った空き地にいたのは,カメに似ているけどカメではない.いうなればかめくんであった.
『かめくんのこと』のかめくんは,あの『かめくん』(感想)のかめくんだった.正しく子供向けではあるんだけど,北野勇作のあのエッセンスが余さずぎゅっと編み込まれている.かめくんを追いかけて行った先にはあのかめくんの町があって,仕事をしたりリンゴを食べたりしている.宇宙はよくわからないレベルでつながったり離れたりしてるんだなあ,ということを思ってしばしぼんやりしたのでした.