ちっちゃいホームズといじわるなワトスン 緋色の血統 (講談社BOX)
- 作者: 城島大,高木恭介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「よくぞ聞いてくれました! 何を隠そう、私はホームジアンなのです!」
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まるでホームズのような尊大な言い方に、二人はぽかんとしていた。
「ホーム……なにそれ?」
「シャーロック・ホームズ愛好家のこと。私の造語よ」
鼻高々なシャーリーとは裏腹に、二人は完全に引いていた。
「んー……でもね。最近ちょっと名称に迷ってて。シャーロキアンっていうのも、なんだか知的でかっこいい気がするのよね。ホームズさんはシャーロキアンとホームジアン、どっちがいいと思う?」
「どっちでもいいと思う」
1920年代イギリス.ロンドン,ベイカー街に探偵事務所を構えた新米探偵,リディア・ホームズは,いまや伝説的な存在であるシャーロック・ホームズの孫娘.伯爵家の未亡人,シャーリー・マクレーンの依頼により,“
第15回BOX-AiR新人賞受賞作家のデビュー作.思いのほか良いホームズパスティーシュで,良いヤングアダルト向けミステリだと思う.テーマのわりに文章にもストーリーにもけれん味がなく,非常に素直な物語になっていると思う.それが良い方向に働いているかな.元気だけが取り柄で探偵の才能がないと祖父から断言された孫娘が,なぜ探偵を志したのか,という.重箱の隅をつつくようなパスティーシュになっていないのも個人的には印象が良いし,それでいてホームズパスティーシュでなければ書けないことを書いている……と思う.まあ私はホームズは『シャーロック・ホームズ 最後の解決』(感想)しか読んでいないのだけど(これもパスティーシュだ).このあたりは現役のホームジアン,じゃなくてシャーロキアンがどう思うか.そしてラストの一文にはびっくりさせられた.『know』(感想)のように最後のページをめくったところで目に飛び込んできて,『know』と同じようにびっくりさせられたの.いやテーマがテーマだから気づいててしかるべきなんだろーなーとは思うんだけどさ.