とよたかゆき 『ギャルゲー探偵と事件ちゃん』 (講談社BOX)

ギャルゲー探偵と事件ちゃん (講談社BOX)

ギャルゲー探偵と事件ちゃん (講談社BOX)

「そもそも事件なんてものはこの世には生まれてこないほうがいいもの。あたしなんて絶対にいないほうがいい存在なのよ。だから、今のあたしも自分が消えることができてすごく満足した気持ちでいっぱいなの。あたしはようやく消えることができる。とても幸せな気分なのよ」
弥人の顔をちらちらと見てくる事件ちゃん。
「べ、べつにだからといってあたしはあんたに感謝してるわけじゃないんだからねっ。あんたなんてあたしの助けを借りてようやく謎を解くことができた三流探偵なんだから!」

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とある地方都市,宵山町に住むギャルゲーオタクの高校生探偵,谷口弥人は,事件を擬人化して対話をすることができる能力を持っていた.第14回BOX-AiR新人賞受賞のデビュー作.事件そのものを擬人化して,対話から日常の謎を解く.というアイデアは面白いのだけど,アイデアを思いついた時点で掘り下げが止まっている.物語のルールもおそろしく曖昧.なぜ事件ちゃんが現れるのか,という理屈は説明しなくてもいいのだけど,これは絶対に考えていないよなー.ゆるいミステリは嫌いじゃないけど,いくらなんでもゆるすぎる.