大桑八代 『カクリヨの短い歌2』 (ガガガ文庫)

カクリヨの短い歌 2 (ガガガ文庫)

カクリヨの短い歌 2 (ガガガ文庫)

歌に支配された一生といっていい。
おそらくこの世に生まれ落ちた際には誕生を言祝ぐ歌が詠まれ、年齢の節目には健やかな成長を予祝する歌が詠まれ、いま死に臨んでも辞世という歌から自由になれない。
それは呪いとどこが違うのか。

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幽現界(カクリヨ)に消えたのち,姿を変えて顕明界(ウツシヨ)に戻ってきた歌.失われた歌を探し求める天才歌人,帳ノ宮真晴からの予告状を受け,歌典寮の重鎮である六歌澪が一堂に会する.一方,世間では「喉貫事件」と呼ばれる連続事件が起こっており.
和歌がキーとなっている現代異能譚の第二巻.「歌」を至上とする,閉じられたコミュニティで事件が起こる.一巻と雰囲気はそのままに,フーダニットを軸にした新本格ミステリ風味,かな.動機はともかく,手段がおそろしく回りくどく,いくらなんでも不自然すぎる.どこかで解消されるのかなーと思いながら読んだら,けっきょく最後まで解消されなかった.テーマのひとつである短歌も,雰囲気づくり以上の意味があまりないのがもったいないなあ.なーんかいろんな面でもやもやする.