竹内佑 『キルぐみ2』 (ガガガ文庫)

キルぐみ 2 (ガガガ文庫)

キルぐみ 2 (ガガガ文庫)

「もし地球上の全員が、絵の具みたいに混じりあって一つになっていったとして、最終的にそこには、途方もなく巨大な、たったひとりの人間ができるだけで、誰とも混じれなくなったそいつはいよいよ孤独で、もし孤独であることが悲劇になるとしたら、そこから先の話なんじゃないでしょうか」
話しながら自分でも思いもよらないところへ結論が着地した。それでも俺は、それが別に間違ってはいないという妙な確信があった。

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一つ目のキグルミ・サイクとの「出会い」を果たした歩だったが,二人の意見は相変わらずどこか合わない.クラスメイトである三月音子について調べるよう頼まれた歩は,「時間の外」でのデスゲームの最中に音子を見つける.
シリーズ二巻.デビュー作から読んでるけども,人間観がなんか面白い.いじめとか,クラスでの人間関係とかを話の根っこに置きながら,人間には裏表があるのが当然だしいろいろ大変だけど,だからといって安直な解決なんてできないよね,という.当たり前のことを書いてるっちゃそうなんだけど,異能バトルでデスゲームの裏に,なんか別の場面が透けて見えるのよね.すっと入ってくる.セリフにキャラごとの特徴が濃いのは演劇畑の作家の特徴なのかな.良かったです.