大泉貴 『東京スピリット・イエーガー 異世界の幻獣、覚醒の狩人』 (このライトノベルがすごい!文庫)

凶悪に膨らんだ角。白銀に輝く体毛、なにより悪意に満ちた眼差し。
GRRRRRZZZZYYYYYY!!
海を割るようなベヒモスの哭き声が轟く。

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ソーシャルゲーム「ソーシャル・スピリット・イエーガー」にドはまりしていた高校生の大吾.ある日,ゲーム画面に表示された見たことのないメッセージが表示されていることに気付く.メッセージに導かれて向かった三鷹駅で大吾が出くわしたのは,緑色の小人,ゴブリンと,それを退治するクラスメイトだった.
パシフィック・リム』を観てムラっとした作者が勢いで書いたという,怪獣エッセンスを込めたライトノベルソーシャルゲームが現実に,というプロットは最近は珍しくないと思うけど,ストーリーの組み立てはさすがに丁寧.物語のキモである怪獣の巨大さ,理不尽さは十二分に出ているし,ゲーム的な異能力との組み合わせもしっかりしたもので楽しいのだけど,怪獣のシーンが分量的に短いのは不満なところ.もっと怪獣を前面に出してほしかった……けどいろいろ難しいんだろうかな.