赤城大空 『下ネタという概念が存在しない退屈な世界5』 (ガガガ文庫)

デモに参加している人たちがすっきりしても、あとにはなにも残らないのだ。そう。オナニーのように。けれどデモに参加している人たちに「このまま暴れまわってもティッシュに発射されてゴミ箱に捨てられる精子と同じ末路ですよ!」と説得する手段はない。

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《子供を犯罪の被害から守り健全に育てる条例》の公布により,卑猥なあらゆるものの単純所持が禁止されるようになった第一清麗指定都市.ちんこの単純所持さえ罰せられそうな勢いで取り締まりを図る善導科に対し,下ネタテロ組織《SOX》は苦しい戦いを強いられる.
母来る,の第五巻.言葉のセンスが素晴らしいなあ.というか,もはや下ネタというレベルではなく,ド直球のネタがすごい密度で飛び出すセンスは素晴らしいのひと言.なぜここまでできるのかとほんとに敬服する.クライマックスで明らかになる《こうのとりインフルエンザ》と《ラブホスピタル制度》という単語の響きの良さよ.しかしストーリーは,《公序良俗健全育成法》に加えて《子供を犯罪の被害から守り健全に育てる条例》という,似たような制度をいくつも用意するという,屋上屋を架すような(使い方あってるかな)組み立て方がちょっと気になる.うまく言えないんだけど,もうちょっとシンプルでスマートなやり方があるんじゃないか.22歳の若さでここまで書いてしまうのはすごいと素直に思うので,もう一歩がほしいなあと思ってしまうのです.