タカハシヨウ 『人間の分際で悩むな 超能力者に放課後を捧ぐ』 (MF文庫J)

人間の分際で悩むな 超能力者に放課後を捧ぐ (MF文庫J)

人間の分際で悩むな 超能力者に放課後を捧ぐ (MF文庫J)

「かさねソリューションズは私が作った超能力者組織。その目的は、……世界平和よ」
また理解不能な案件が1つ増えたので祥の中で整理がつくのは8ヶ月後になる計算だ。

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ある事情から中高一貫校の高等部に編入した園村祥は,超能力者を自称する少女,皐月坂かさねに声をかけられる.かさねは,祥が超能力者であるとのたまい,世界平和を目論む超能力者団体,かさねソリューションズに入るようにと勧誘を仕掛けてくる.
タカハシヨウ・著,竜宮ツカサ・イラストという,まんま家の裏でマンボウが死んでるPの新作.小説デビュー作の『クワガタにチョップしたらタイムスリップした』(感想)が面白かったので期待して読んだら,なるほど期待通り一筋縄ではいかない感じ.「世界平和」をもたらす方法が,世界中70億人の人間関係のもつれを(ひとつひとつ)解決する,という地道すぎるものだったり,かさねを始めとする面々がそもそも本当に超能力者なのか曖昧なまま話が語られたり.人間関係の誤解を丁寧になぞり,時系列にそってミステリ風に問題編と解決編のように描かれるのが実に面白い.まあ,真実を知ったからといって人間関係のもつれはこんな風に解決するものでもないだろうけどね.全体的に少し固いかなと思ったのと,タイトルにもなっている「人間の分際」の意味がぼやかされたのはかなり気になったところ.