一肇 『フェノメノ 弐 融解ファフロツキーズ』 (星海社FICTIONS)

フェノメノ 弐 融解ファフロツキーズ (星海社FICTIONS)

フェノメノ 弐 融解ファフロツキーズ (星海社FICTIONS)

「誰かが置いたのだろう。一見他の本とは見分けがつかないが、それはひっそりと普通の本に紛れてこの大学の図書館にある。しかし一度それを読んでしまえば、忌み語に縛られる。文字から目が離せなくなり、物語の世界に引きずり込まれる。ついには現実と幻想の境界を見失い、向こうの世界へと連れて行かれる」

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ありえないものがありえない場所に降る,武蔵野市怪雨現象(ファフロツキーズ).大学の時計塔に存在するおぞましいもの.転生する猫.いったいなにが起ころうとしているのか.
フェノメノ 参 収縮ファフロツキーズ』との上下巻の上巻.青春怪談小説という帯の文句がこれ以上なくこの作品を表現していると思う.ホラーとしての怖さだけ見るならたぶん一巻(感想)のほうが上かなという気はする.一章一テーマで進むので,ストーリーは連続するしそれぞれの章の完成度も高いとは思うのだけど,微妙にぶつ切りになっている感があるかな.ところで,舞台になっている武蔵野のお坊ちゃん大学というのは,「少女キネマ」(感想)と同じ場所なのかな.同じ場所の表と裏の話だと思って読むとまた別の趣がある.かもしれないよ.