大桑八代 『カクリヨの短い歌3』 (ガガガ文庫)

カクリヨの短い歌 3 (ガガガ文庫)

カクリヨの短い歌 3 (ガガガ文庫)

桜は咲いて散るものだと信じていた。
まさか――
ひと思いに散ることもできずに枯れ死ぬことがあるとは、思っていなかった。

カクリヨの短い歌 3 (ガガガ文庫) | 大桑 八代, pomodorosa |本 | 通販 | Amazon

顔にトライバル柄の刺青を入れた椿市と,梅の禍歌を詠む振根は,すべての歌を集める女,帳ノ宮真晴の命を狙っていた.振根の梅と,真晴の詠む桜.ふたつの花の対決は,鎮花祭の場で結ばれる.
三十一文字の歌をめぐるシリーズ第三巻.女二人の逃避行(ではないが)に,歌に歌われる花と花について.設定の穴をちゃんと埋めながら話を作っているのが良いし,巻ごとに描かれる場所も雰囲気がぜんぜん違うのが面白い.異能ものから半歩踏み出した雰囲気というか.相変わらずあっさり殺し殺されするし,「歌」を都合よく使っているのもあるけれど,クライマックスにはちとじんわりしてしまった.なんだかんだとまっとうに面白くなっているのではないでしょうか.