雨澄碧 『戦塵の魔弾少女(バレット・ガールズ) 魔法強化兵部隊戦争記』 (このライトノベルがすごい!文庫)

「はい、わかったんです。こんな戦いに意味なんかないって。わたしたちが死んでも、何の意味もなくて、誰かを殺すことに何の意味もないんだって、やっと、わかったんです。クラリーはもしかして、ずっと前からわかっていたんですか?」

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世界平和条約機構(W・P・U)への加盟を拒否し,内戦状態にあるバラトルム聖帝国は荒れ果てていた.工業都市オークストラで肩を寄せあってなんとか日々を暮らしていた子供たちは,ある日児童福祉局に保護される.その「児童福祉施設」の実体は,少女たちを魔法強化兵へと改造する施設だった.
このライトノベルがすごい!大賞応募作のうち,編集長の隠し玉とのこと.「魔法少女物で特殊部隊物」というのは方便で,本当は洗脳とか改造とかされてゴミのように使い捨てられる戦闘少女を描きたかっただけなのはほぼ間違いない.言ってしまえばフラテッロ制のない『GUNSLINGER GIRL』なんだけど,一冊で書くには明らかに尺が足りない.積み重ねがどうしても足りないし,おかげで単なる「悪趣味」の域を出ていないのよなあ.少女を強化する手段を「魔法」で済ませてしまっているのも安直.尺があればそのあたりのディテールをどうするつもりだったのかは興味あるけど,ひとにすすめるにはちょっとためらってしまう.