耳目口司 『丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ』 (スニーカー文庫)

「身体はいつだって自分と共にある。だから、人間から生まれる芸術が身体から離れることはないんですよ。でも死体は、死体は魂がないただの入れ物です。それなのになぜ美しいのか。いや、だからこそ美しいんですよ! 魂なんて穢れたものが入っているから駄目なんです。その全てから解放され、自然と一体化した身体こそが究極に美しいんです!」

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神楽咲高校に入学した,風景が大好きな高校生,咲丘は,「丘研」の貼り紙を見て直感的に入部してしまう.しかしそこは,「世界を人間から取り返したい」と豪語する沈丁花桜が代表を務めるオカルト研究会だった.狂人揃いのオカルト研究会で沈丁花の世界征服に与することになった咲丘の明日はどっちだ.
第15回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作.放課後部活ものかと思いきや,思想も行動も,全方位に尖っているのがすごく楽しい.インターネットの持つ力の定義とか,魂と身体の関係とか,刊行から4年近く経ってるけどなお新鮮.作中での「オカルト」の意味するものも一本筋が通っていてすごく好きだな.露悪的ではあるんだろうけど,この狂いっぷりはおそらくそれだけではないはず.もうちょっと早く読んどけば良かったな.とりあえず続きを注文しました.