歩祐作 『半熟卵のエンジン』 (講談社BOX)

半熟卵のエンジン (講談社BOX)

半熟卵のエンジン (講談社BOX)

時間を巻き戻すのは、いっさいがっさい人間には不可能ごとです。

夕陽のすみで待っていた

ロッカーに潜るのが好きな男の子と密かに女装するのが好きな男の子が無人の屋上で出会う「うつせみ」.女子高生と男子小学生が笑い猫の前で出会う「笑い猫キック」.顔も名前も性別さえわからない相手との密かなやりとりを描く「夕陽のすみで待っていた」.週に一日だけ付き合うことになった二人「鈴どろぼうと金の秋」.受験生の弟と大学生の姉,「半熟卵のエンジン」
93年生まれ,現役大学生作家のデビュー二冊目.一対一の関係を軸にして物語を動かしていくという手法が共通しているのかな.デビュー作がいまいち肌に合わなかったので買うかどうか迷ったのだけど,買って損はなかった.特に表題作の「半熟卵のエンジン」は比類なきお姉ちゃん小説なので,お姉ちゃんが大好きなキッズは読んでみるといい.