倉阪鬼一郎 『三崎黒鳥館白鳥館連続殺人』 (講談社ノベルス)

三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)

三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)

「かしこまりました。わたしが手本とした作家は、次のような理想を語っておりました」
「倉林とか倉田とかいう売れない作家だな?」
倉阪鬼一郎でございます。阪はコザトヘンで、ツチヘンの坂ではありません」
「どっちでもいいって。で、その阪倉が?」
「……すべての文章、ひいてはすべての言葉が伏線になっているミステリーが、彼の理想なのだそうです」
「すべての言葉が伏線? それって、ただの病気じゃないのか?」

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復讐のために建てられた双子の館,黒鳥館と白鳥館.ひとりずつ招待されるファインアート研究会の面々が,密室でひとりずつ殺されてゆく.
やー,楽しかった.上の引用部で述べられるとおり,全編が伏線で作られたバカミステリなので,うかつに内容に触れた感想を書くと即ネタバレになりかねない.作中のある仕掛けと,まったく同じネタを使った作者の別の作品を何年も前に読んだぞ,くらいかしら.その時の作品と比べると非常に洗練されているし,終盤に向かってどんどんバカバカしくなっていくのが楽しい.三崎のマグロが食べたくなる小説でありました.