東出祐一郎 『ケモノガリ8』 (ガガガ文庫)

ケモノガリ 8 (ガガガ文庫)

ケモノガリ 8 (ガガガ文庫)

これで彼女は救われる。アカガミロウキ、という意識は消えてなくなるけれど。ケモノガリはケモノガリであって、ケモノではない。
世界に悪があるなら、まだケモノガリは何かを為せるはずだ。
色々なことがあった。旅をして、誰かを救って、顔も忘れた誰かを殺し続けた。
正義ではないだろう。けれど、決して悪ではない。ただその誰かを許せないと思って、吼え立てて、牙を剥いたのだ。

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殺人を娯楽として提供していた“クラブ”の壊滅,楼樹とアストライアの最後の戦い,その後の出来事.すべてに決着をつける最終巻.「魂を輝かせる行為としての殺人」や,殺人の才能を純化させるためにすべてを捨てるという説明を,理屈ではなく描写で説得力を持たせることに成功している.けっこうすごいことをやっているのではないか.アクションシーンの重量とスピードはクライマックスに向けてどんどん熱さと鋭さを増していく.最終回はこうであれ,という理想的な最終回ではなかったでしょうか.「暴力に打ち勝つ青春」,確かに受け取りました.