深見真 『ローズガンズデイズ season1(下)』 (星海社FICTIONS)

ローズガンズデイズ season1 (下) (星海社FICTIONS)

ローズガンズデイズ season1 (下) (星海社FICTIONS)

「あんまり女をッ、舐めないで下さいッ!」ローズが激昂した。「そうですね、あなたたち男は戦場でさぞや大変だったと思います! 同情します! なら、ひとり残された女たちが大災害を生き抜き、食べていく為にどれだけ苦労してたかわかりますか! 私たちは生きる為に、ご飯を食べる為に必死になって働いていたんですッ! 夜の女がどれだけ辛い仕事か知ってますか? わかりますか!? わからないでしょう!
あなたたちはいいですね! 御国の為に勇敢に戦ったと誰からも同情してもらえてッ! 私たちは誰にも同情されない! 汚い仕事と罵られながら、それでも私たちは生きる為に働いているんですッ! 私たちをあまり舐めないで下さい! 女の子の尊厳を踏みにじる輩は、このローズ・灰原が断じて許しませんッ!」

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1944年4月の激甚大災害と,その後の米中連合駐留軍による人道的支援により,亡国の民となった「日本人」.クラブ・プリマヴェーラのマダム・ローズたちは,戦後の混乱期を生き延びるため,日本人同胞組織「春風」を誕生させるが,暗黒街の手は迫りつつあった.
故国を亡くすことになる日本人の,歴史の転換点を2012年から振り返る上下巻の下巻.戦場と大災害に遭遇した銃後,戦う男と守る女,米中から完全に否定される日本人としてのアイデンティティ.ある意味とても現代的なテーマを元に描かれる原作を,深見真が非常にうまくノベライズしていると思う.上巻のときも書いた気がするけど,うってつけの人材ではないかと思う.それだけに,“小説版はここでいったん終了”とあとがきで断言されてしまったのは悲しすぎる.作者も忙しそうだし,いつまで待っても音沙汰がないよりはマシ,と言えなくもないけど…….ところでカバーには「原作 竜騎士07/ノベライズ+格闘・銃撃シーン執筆 深見真」となっているのだけど,原作には格闘シーンも銃撃シーンもないのだろうか.