川上亮 『進撃の巨人 隔絶都市の女王(上)』 (講談社ラノベ文庫)

男性は目覚めない。
彼は木箱を深く、深く愛している。
リタはかすかな腐敗臭を嗅ぎわける。

Amazon CAPTCHA

巨人たちの襲撃によりウォール・マリアが陥落した.駐屯兵団に所属する薬屋の娘,リタはわずかな生き残りとともにクィンタ区に隔絶されてしまう.商会の跡取り息子のマティアスは,幼なじみのリタを救出するため,シガンシナ区奪還作戦にまぎれてクィンタ区へ向かうことを目論む.
ウォール・マリア陥落直後のオリジナルストーリーを描いた『進撃の巨人』ノベライズ.身分違いの恋.巨人によって孤立させされた,指導者のいない都市.そしてラストのショッキングな再会.面白くなりそうな要素はいくつもあるのだけど,全体的に非常に薄味.約200ページに収める内容ではない.この内容だったら2倍以上のページ数があってもおかしくない,というかそのくらいのものが読みたいぞ.といっても街の雰囲気はテキストから十二分に感じ取れるし,「特権階級」と「労働者階級」の存在を自然に描いていたのが個人的に好印象ではある.ひとまず下巻が出るのをおとなしく待ちます.