田中ロミオ 『人類は衰退しました8』 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました〈8〉 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました〈8〉 (ガガガ文庫)

「はあ? 夢が現実に干渉したと?」
「そのあたりはわからない。でも電脳データって、現実の範疇かな?」
「無論そうでしょうとも」
「そうかな。拡張現実で現実に重ねられた層って、ある意味、夢っていう層と似てないかなって思って」

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壊滅的な被害を負いながらも,各地からの支援物資によりぬくぬく暮らしていたクスノキの里.このままではあかんと復興に向けて頑張る調停官のわたしだったが,月に出かけてしまった祖父に,逆子をお腹に抱えたヤンママなど,つぎつぎと面倒事が襲いかかる.
鍵は拡張現実の,シリーズ第八巻.現実と夢,拡張現実と拡張夢を行ったり来たりする.皮肉を効かせながら,恐ろしくスマートにまとまっている展開.今でなければ書けない話であるのは間違いないのに,どこか懐かしさを感じる.これぞ現代日本SFだと思ったことですよ.良かったです.