早坂吝 『○○○○○○○○殺人事件』 (講談社ノベルス)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

○○殺人事件というタイトルはありふれている。○○には「湯けむり温泉」とか「紅蓮館」とか「ボイル=シャルルの法則」とかいう単語が入る。しかし、○が○のまま残った本書のようなタイトルは前例がないのではないかと自負している。もっとも、この○も伏せ字であることには変わりない。問題は、現時点でそれが伏せられたままだということだ。
今回諸君らに取り組んでいただくのは、犯人当て(フーダニット)でも、トリック当て(ハウダニット)でも、動機当て(ホワイダニット)でもなく、タイトル当てである。

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小笠原に浮かぶ孤島,再従兄弟島.年に一度,とあるブログのオフ会で知り合った仲間たちが,夏休みを過ごすこの島で殺人事件が起こる.果たして犯人は,そしてこの本のタイトルとは?
「前代未聞のタイトル当て」ミステリという第50回メフィスト賞受賞作.あらすじの時点からしてバカミステリであることは言い訳のしようもないんだけども,読んでみるとこれがかなりロジカルに完結してるんだ.無理な理由づけやぶっ飛んだ飛躍がほとんどなく素直に納得できるし,解決編まで読めば問題編の無駄のなさがわかると思う.まあその反面,新本格としては入門編なのかなという気もする.ミステリにあまり明るくない(自分のような)読者ほど,素直に楽しめるのではないでしょうか.面白かったです.