秀章 『GランDKとダーティ・フェスタ』 (ガガガ文庫)

GランDKとダーティ・フェスタ (ガガガ文庫)

GランDKとダーティ・フェスタ (ガガガ文庫)

「よし決めた!」
「……何よ急に」
「俺さ、正直ミスコンは出落オチでいいと思ってたんだよ。男ってのがバレバレのひっでー女装でステージ上がってさ、一笑い取れればそれでいいかなって思ってた。けど方針をちょっと変える。本気でミスコン優勝を目指すわ」
「……は?」

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Fランクよりも下のGランク底辺校,野猿峠男子高等学校(通称猿男).文化祭が近づきつつある季節,近隣にある超名門,鈴之院女子高等学校と猿男が,なぜか合同で文化祭を行うことになる.猿男に通う花島一茶と仲間たちはこの祭を精一杯楽しもうとするが,裏ではある思惑が進行していた.
超底辺男子校と超エリート女子高の合同文化祭を存分に盛り上げるべく,女装してミスコンに出てやろうじゃないか.のっけからバカ男子高校のテンションの高さウザさにやられる.どことなく『バカとテストと召喚獣』を彷彿とさせるけれど,こちらは異能力の類は出てこない.個性的で愛すべきバカたちが,自分が楽しむこと,誰かを楽しませることに全力で取り組む.その裏にあるトラウマだったり,友情だったり,意地だったり,挫折だったり.バカたちが本当に楽しそうでまぶしすぎて泣けてくる.しかしこのテーマなら,「勝者」と「敗者」が存在しない話にしていれば,さらなる傑作になったのではないかなあ……,とは無茶なこと言ってるかもしれないけれど.きちんとした青春劇を,ライトノベルでないと書けない形で気持ちよく書いてくれる作家さんなので,皆も読んでみるといいと思います.