はまだ語録 『着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活』 (このライトノベルがすごい!文庫)

着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 (このライトノベルがすごい! 文庫)

着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 (このライトノベルがすごい! 文庫)

ああ――と幸太郎は言葉にならない感動に胸を打たれていた。
この子たちなら大丈夫だ――彼はそう思った。
それはマリアとアリスなら信じられる、なんて甘いものではなかった。
この二人になら裏切られても、罵られても、嫌われても許せるという気持ちだった。

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魔術士の名家に生まれながらも,魔力を持たないとして迫害されてきた夢野幸太郎.テロリストに殺された両親の葬儀の席がきっかけで,双子の義妹を引き取ることになる.自分よりはるかに才能のない義兄と暮らすことに反発を示す姉妹だったが,家の玄関をくぐると,そこにいたのは義兄ではなく熊の着ぐるみだった.
魔術士の血統が支配する社会を舞台に,双子少女と着ぐるみとなった義兄のほのぼの同居生活を描く第5回『このライトノベルがすごい!』大賞・最優秀賞受賞作.莫大な才能を持ちなんだかんだと反発しながらとても素直な双子が可愛い.テキストは正直あまり読みやすくないのだけど,実直に書いている印象があり,世界観は魅力的だと思う.あからさまに続編を出す気満々なエピローグはちょっと鼻についたけど,読んでいて先が気になったのも確か.一巻では支配者階級である魔術士(とその落ちこぼれ)と,半差別主義者(アンチレイシスト)の存在という両極端を描いているので,続きを出すならその間を掘り下げてくれるといいな.