鳥居羊/うたたP 『一途な片思い、実らせたい小さな幸せ。』 （星海社FICTIONS）

一途な片思い、実らせたい小さな幸せ。 (星海社FICTIONS)

うさぎヌイグルミの目が、キラリと光った。これでもう、これからのこと全部わかる。携帯で誰とやりとりしてるとか、いつどこにいて、何をしてるとか。
行動パターン、何気ない仕草まで、全部、全部、二条くんのことなら知ってるよ。

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同じ電車で通学している高校生の二条くんに片思いする中学生，一花真柚．この恋は運命，二条くんと私の関係性は誰にも邪魔させない．
同名ボーカロイド曲の小説化．真柚の運命の片思いは，やがてアメリカや世界各国の経済，日本のやんごとないお方まで巻きこんで暴走してゆく．最初は斧と薬物を駆使するヤンデレ中学生の恋心から始まり，中盤はスーパーハッカー中学生 vs. NSA．終盤に向けてどんどんと風呂敷が広がっていく．ヤンデレの描写はすごく良い（こわい）と思うし，ひとつひとつの要素は悪くないと思うんだけど，一冊の小説としてはいくらなんでも散漫すぎるし投げっぱなしすぎる．歯車がどこかずれたまま最後まで行ってしまった感じでちょっとイライラさせられた．まあ語り手がヤンデレだから仕方ないのかもしれないけど，あとちょっとでなんとかなった気もするんだよな．