鴉龍天晴(がりょうてんせい) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)
- 作者: 神々廻楽市,スオウ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: 単行本
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《夜咫鴉》と《夜叉ノ大蛇》。この二匹の獣による争いは恰も、人跡未踏の霊峰をいの一番に踏破しようとする修験者達の旅路のようであった。
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その軍旅の道はまず、幾重もの綾が交わる美しき交叉路から始まる。
関ヶ原の合戦をきっかけに日ノ本は東西に分裂.陰陽道が発達し,妖と共生する西と,封神兵器《鬼巧》を開発し,開国の意思を示す東は対立を深めていった.そして幕末,帝国政府元老井伊直弼の独断により,第二の関ヶ原の合戦が起ころうとしていた.
第2回ハヤカワSFコンテスト最終候補作.科学と魔術が独特の進化を遂げた日ノ本を舞台にした「大河スチームパンク」.テーマは非常に面白いと思うのだけど,外連味を効かせたテキストがどうも肌に合わず.単に時代がかっている,というのとも違うし,唐突に口語調が挟まったりするのはむしろ好きな方なんだけど,最後までリズムがつかめず目が滑りまくった.そのためか,関孝和の量子コンピュータとか,陰陽式の魂魄波動砲といったガジェットがこれでもかと投入される豪華な戦場も,パンクさがさほどでもないと感じてしまった.題材は良いはずなので,没入できれば恐ろしく楽しめるはず.このあたりは完全に好みによる,かなあ.