かじいたかし 『僕の妹は漢字が読める3』 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める3 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める3 (HJ文庫)

言語革命――。
二十一世紀も終わりのことだ。日本の人口が減り、外国人の労働力を欲した政府は、日本語を外国人にも理解しやすいものとするため、漢字を廃止し、複雑な文法を使わずに済む「現代文」の採用を決定した。

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23世紀の日本に戻ってきたギンたち一行だったが,歴史改変の影響によって,ギンに実妹ができていた.身に降り掛かった文学的(23世紀の)展開におののくギン.それと時を同じくして,超前衛的な小説を書き続けつつも認められていなかったギンに,出版のオファーが届く.
外来語に依拠しないまったく新しい日本語をつくる会,こと「ことばをつくる会」登場の巻.義妹と実妹,古い日本語と新しい日本語,過去と未来.わかりやすい対立軸を立てながら,スマートに話を進めている.細やかなネタも含めて楽しいし,タイポグラフィもいちいちうまいのよな.これぞ未来の言語,と言い張っても許されるだけの説得力はあると思うぞ.あと驚いたのが,23世紀における二次元と結婚する方法と,2.5次元人の存在.21世紀人の感覚からするとなかなかおぞましいというか,なんでそこだけ中途半端にリアルで生々しい方法を取るのか.まあ,高度に発達しすぎない23世紀ならそんなもんなのかな.なんだかんだ地に足がついた話なんだよな,と思いながら楽しんでおります.